つい
デザインあneo
NHK Eテレ「デザインあneo」の番組内の歌「つい」を企画・演出・制作しました。
人が自然に「つい」やっちゃう行動をちゃんと考えてデザインは作られているんだよ、というデザインのアフォーダンスの概念をテーマにしたものです。
例えば普段何気なく使っているコップ。別に説明書はついてないけれど、持ち手に指を入れてつかみ、持ち上げて口に運ぶ、という使い方が自然にできるよう設計(デザイン)されています。デザインは、アウトプットの美しさを工夫する前に、まずは人の考えや行動に正しくアプローチしていく方法を考える必要があります。そのためには、日常での小さな気づきを良く観察して分析するプロセスが大切になってきます。
企画と構成の段階で「つい」してしまう行動を考えているうちに、これは無意識ではなく意志があってしていることなんではないか?という事例も出てきました。
例えば指差す方向を「つい見ちゃう」行動は、本人の意志とは関係なく環境側にそうさせられてしまっていますが、「鉛筆を、本のしおり代わりにはさむ」行動は、そこに「ここまで読んだと次回わかるための印が欲しい」という意志があってから→「あらちょうどいいものがあったわ」という気づきを介して→「これ挟んどこう」の行動にアウトプットされるので、前者のプリミティブな「つい」とは棲み分けが必要な気がしてきました。
最終的に歌として伝えるときには、そこを考えて、無意識に環境側にそうさせられてしまっているプリミティブな「つい」事例をメインパートにして、意志を持った「つい」行動は連発パートとして挟む構成にしました。
ただそれだけだと、この「つい」無意識でやっちゃう行動が、どうデザインと関連しているのかわからないので、最後に、指さしなどの方向性を持ったものが、矢印のようなデザインに変換されて、つい見ちゃうものの役割を果たしている、というようなデザインとの関連パートで終わるという順番で構成を組んでいきました。
普段、気づいていないけど無意識についやっていることはたくさんあって、それって実は面白いことだし、デザインやコミュニケーションの根底にある、大切なことなんだなという気づきになれば。
曲は蓮沼執太さん。歌は大貫妙子さん。ついついみんなに口ずさんでもらえる曲になると嬉しいです。
I created the video "Tsui" for the song segment for NHK ETV's "Design Ah Neo."
The word "Tsui" in Japanese refers to unconscious actions or habits we do without realizing—something we naturally just "happen" to do. The piece explores the concept of design affordances how design considers these tendencies.
Planning / Direction / Edit / CG / Lyrics: 野村律子 | Ritsuko Nomura
Cinematographer: 平本宗一郎 | Soichiro Hiramoto
Music : 蓮沼執太 | Shuta Hasunuma
Singer: 大貫妙子 | Taeko Onuki
©︎ Ritsuko Nomura 2024